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もう一人「木を植えた人」の語り部がいた ! それは、楠小学校教頭、桂川久仁子さんです。桂川さんは、既に二度ほど聞いて下さっており、事ある毎に、“朗読会がすばらしい”と、多くの皆さんにお話をしてくださっていたのです。それだけでなく、お母様にも話してくださり、その上なんと、ご自身でお母様に朗読までされていたのです。まさに“もう一人の語り部”。ね、そうでしょう。お会いしたときには「この作品、朗読してみると結構長いですねえ〜」と、私を脅かす発言まで。こうして、語り部の桂川さんにのせられた(?)PTA成人教育部長の大山直美さんらを中心に、楠小学校体育館での朗読会が始まりました。
寝ぼけまなこの我々は、朝9時過ぎに到着。既にお母さん達が待機し、私たちを見つけるやいなや、奪い取るように道具を体育館に搬入。広々とした館内のステージを背にして、椅子が並べられ、窓には、暗幕が引かれ、明かりの漏れをチェックしながらガムテープで補強、もちろん非常口灯も完璧に覆われていました。どうです、この細やかな気配り、まさに素敵なお母さん達。“こんなお母さんがほしい”と心の声。雰囲気に脱帽した二人は、すっかり眠気も覚め、“もうやるっきゃない”状態。
準備は着々と進み、開場も予定を早め10時15分に。確かにお母さん達が準備をして、聞き手に回るのですから、準備と開場時間が一緒。集まりも早いわけです。
開演20分前には男性(会長)1名を含む36名が勢揃い。なのに始められない。小学校には落とし穴があったのです。実は、桂川さんから、数日前に10時30分開演を50分に変更したいとの要望がありました。というのは、30分に始まる大放課(通常より長い放課)に、子供達が体育館の回りにあつまって遊ぶため、その声が朗読の最中に聞こえる事を心配し、開演を遅らせることになったのです。加えて10時30分スタートだと、朗読の最中にチャイムが鳴る。結果、10時50分なら全てが旨くいくという訳です。
そんな理由で、開場を早めたものの、始めたくとも始められない“魔の時間”がゆっくりと時を刻み、“まだかな、まだかなあ”と、客席後ろのステージから覗いていると、チャイムが鳴った。すると同時に、突然蝋燭の明かりになったのです。え!まだ早いのでは?しかし杪谷の指はチャイムに反応(小学生の杪谷)、客電を消してしまったのです。もう一回チャイムがなるのでは・・・と気にしながらも、曲が流れる中、大山さんは蝋燭の明かりを、ゆっくり下げに行かれました。暗転(といっても広い体育館では、やはり完全暗転は難しい)。私も皆さんの背中越しに(これぐらいは見えるのです)、スタートしました。結局、チャイムが・・・は結果オーライの音沙汰無し。杪谷の悪運の強いこと(この人といると心が縮む)。漂う緊張感が日常の音を凌駕し、語り手にとって気持ちの良い空間が広がっています。そうなれば聞き手とのキャッチボール。緩やかに読み進めようとの思いを、会場の雰囲気が実現させてくれました。前回と今回は、聞き手の集中力が、朗読にどれだけ手助けになるかを感じさせてくれました。その朗読も無事終了。そして、最後にライトアップ。そ、その場所がない!そこで、私が館内の長い道のりを入り口まで歩き、扉を開け放ちました。秋の日差しが溢れ、子供達の声がする日常を見ていただくことにしました。このラストシーンについては「いつもと違う空間に見えた」など多くの感想をいただきました。その後、大山さんに紹介され、朗読会の経緯などについてお話をしました。朗読を聞きたいと思ってくださるお母さん達の気持ちを、終演後まで感じることが出来た朗読会。これこそ、素晴らしい感動なのかも知れません。92回目に感謝。
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