78&79回公演
東京都世田谷区
「i文庫アトリエ」
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“朗読会”私にとってどちらへ招かれても心持ちは同じですが、「東京で・・・」というと、必ずそれに続く言葉は「すごいですね、東京ですか?」本当に、これって凄いことなのでしょうか?今回、私は密かにこんな疑問を抱きながら上京、東京在住の作家であり、「あい文庫」という声優達の妙な集団の代表でもある水城雄さん主催の朗読会(77回目と78回目のステージ)に臨みました。
場所は世田谷区豪徳寺。駅から歩いて3分の酒屋さんの地下、以前ビデオスタジオとして機能していた空間「あい文庫」。現在、事務所兼練習場として使用、水城さんのねぐらでもあります。コンクリート壁の白っぽい雰囲気を持ち、広さは15×5メートルほど、天井は2メートルぐらいの高さ。14日土曜日の昼3時と夜7時からの二回公演です。
一回目、通算77回目は18人(男性6人)の方を前にして朗読。殆どが声優の方々で、言ってみれば同業者。そんな中で朗読をするのは、まさに針のむしろに座ったようなもの。とはいっても引き受けたからには“しらざあ〜言って聞かせやしょう”ときたもんだ、の心境でしたが・・・。いざ読み始めると空間の拡がりが掴みにくく、少し声を張ったりしました。すると今度は響きすぎ、少し押さえたりと、どうもペースが掴めません。この後、もう一回朗読をするのだと思うと、どうしても試験的な考えがよぎってしまいました。これ反省です。とはいっても壁に跳ね返る音を聞き、自分でコントロールをしながら読み進めました。語る声が聞き手の身体に充分届き、うまく言葉が入っていくように感じられます。2〜3回言葉が危うかった処もあったのですが、気持ちが乗っていたので聞き手の方々がイメージを湧かせることが出来たように思います。途中、上階の酒屋から足音やカートを動かす音などが聞こえ、やり過ごす場面もありました。本当に日常の音は限りなく聞こえてくるものです。
さて感想は「空気感が違ってた」「最後に大粒の涙が出てきた」「いつもは朗読を聞くときは目をつぶるのに今回はどういう訳か見てました」などというものでした。ちなみに涙が出たというのは二人で、若い男女。しかも共に声優でした。今回のライトアップはグリーンのゼラ紙を使用し、背後の白い壁に当てました。その前に「私はバスを降りた」と言うくだりでそのグリーンを点灯し、朗読に花を添えてみました。我々は、これって結構良いなとは思ったのですが聞き手の反応は何も無し。まあこんなものですがね。
さて、7時からの2回目。水城さんは3時同様、開始時間や朗読の環境には充分気をつけて下さり、冷蔵庫やクーラー、時計の音など朗読の邪魔をするものにはシビアに対処してくれてました。
2回目は24人(男性5人)で始まりました。一回目終了後に、水城さんから、もう少しゆっくりのペースが僕は好きと言う意見が出ました。ここは、主催者の水城さんを立てやしょう!一回目の感触が残り、且つすんなり空間に溶け込めた事もあったので、さらにゆったりと、まるでブフィエにハエが止まるほどのスピードで読み進めました。実は一回目も、音が響くので余韻を出すためにゆっくりと読んではいたのですが・・・。
途中、前列の女性に言葉を投げかけると何と「うん、うん」と頷くではありませんか?「こんなに反応がいい人がいるとは思いがけないことである」と、まるで朗読の一文に。 今回は42人の方に聞いていただき、結果、東京であろうがどこであろうが感受性は同じではないかと・・・あの「東京は他と違うのか」という密かな疑問はみごと消え去ったのでした。とはいっても、東京神話は、間違いなく息づいているのでしょうね。おわり。 |
80回公演
愛知県春日井市
「蓮蔵院」
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あ〜心が動揺してしまった!で始まった春日井にある臨済宗のお寺「蓮蔵院」での朗読会。このお寺は500年ほど前に建立され、その後大正時代に焼失、再建された由緒あるところ。昨年12月に続いて、春日井の「大気グループ」の舟橋美鈴さんらが中心となり、主催してくださいました。
蓮蔵院の境内には500年を越えても脈々と生き続ける樹木が多く、これらは道路拡張の名目で伐採の運命にあるそうです。朗読会への関心と樹木達を何とか守りたいと言う強い気持ちから、「蓮蔵院」を管理されている小澤正美さんも、会場の提供、さらに観客の動員までご協力下さいました。本堂を開け放ち、庭を背にして縁側に椅子を配置。ライトアップは勿論、境内の木々たち、これは二人の意見が見事一致、すぐに決まりました。
開演は7時。46人(男性10人)の方が揃いスタート。私は本堂横の受付の部屋に待機していました。ところが、最初の曲が始まって間もなく、境内を横切り縁側から本堂へ入る女性が?“まあ良いか、この時間なら仕方がないな”と思い、再度集中。曲が終わるのをしばし待ちました。そして舟橋さんが昨年の反省を込め、今度こそ厳かに燭台を下げようと動き出した頃に、今度は受付の部屋へ「こんばんわ」と女性の方が・・・思わず、“し〜っ”と私、気がつかないのか再度「こんばんわ」と私におっしゃる。思わず小声で“早くお座り下さい”と席の方を指さしました。それに気づき、ごめんなさいという感じで静かに座られました。その時、既に曲が終わっていたのです。“あ〜どうして!また集中が切れてしまった。もう少し曲を、曲を〜”あとの祭りでした。押し出されるように「ある人が・・・」を始めました。しかし、一文を言ったところで、次の言葉が出てこない、「どういうこっちゃ」とは私。もう一度「ある人が・・・」もうこうなったら辻褄が合おうが合うまいが、とにかく強引にまとめて朗読の椅子へ。そこからはいつものペースでと思ったのですが、空間は明るい、声は少し通りにくい、車の音は聞こえる、子供の遊ぶ声も聞こえる。そんな中、どうしたらいいのか、そこで朗読の方向性を変えてみようと考えました。日没前でこれほど丸見えなら、しっかり見てもらおう。こちらも皆さんを見て語ろう。朗読と言うより今回は語ってみようと、こう書くとかなり時間があっての事と思われますが、ほんの瞬時にこのことを考えたのです。そうと決まれば、ゆっくり観客を見回し、声を少し張りぎみにして、張った分強弱をつけながら立体的に、間をいつもより強調してみることにしました。こんな感じで読み進めていく内に、飛行機の音が、でも問題ではありません、語っているのですから。鳥のさえずり、でも語っているのですから。こうして日没後の闇が早く訪れる事を願いながら読み進め、7時30分を回ったころ、あと5ページあたりから6月の闇が忍び寄って来たのです。この時は正直ホッ!最後まで語り進めました。こんな感じの朗読に出会い“そうか、こういう形の朗読もあるんだ”と改めて思いました。思わぬ拾い物の朗読会。そして真打ち登場のライトアップ。こちらは裏切ることなく、見事に境内の木々を映し出していました。終わりよければ全て良しでしょうか?ある意味で、気持ちが充実した朗読会となりました。舟橋さんは後日「大変嬉しいことに、私、読みの変化に気付いたのです。でもその後が良くありませんでした。暗闇ではなく薄明かりのせい? 障子戸が開け放たれているせい? それとも座った位置(聞く方向・距離)の違い?などと思ったりしていたのです。でもそのうちに朗読、いや、語り口調に引き込まれ、聞き入っていったのでした。」
さらに小澤さん曰く「静かな朗読は森の木の精の言霊のようでした、尊いお仕事です」 |
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