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71回公演
春日井市
メインキャストスタジオ
開催日前日に開演時間が変更になるという、前代未聞の事件が起きたのはこの朗読会。かなり以前に春日井市民環境ゼミナール「大気グループ」の舟橋美鈴さんより、ご依頼をうけていました。以前にギャラリー「櫻や」での朗読を、ご友人の土田芳子さんが聞いてくださり、その関係で今回は「大気グループ」と朗読グループ「秋桜」(土田さん所属)の共同開催となったのです。
当初、会場が春日井にあるフランス料理店でしたが、朗読日がレストランの休日と重なったため、急遽、春日井の勝川商店街にあるコミュニティFMのスタジオ内にある空間「メインキャストスタジオ」となりました。ところが、ここからが前述の話です。朗読会の前日、「明日よろしくお願いします」と言うご連絡を差し上げたところ、「実は問題が・・・」というわけです。朗読会場には他にも部屋があり、当日そこで子供達にダンスを教えていて、6時30分までは練習の音楽が聞こえてくる。それに練習終了後、子供達を親御さんが迎えに来るので7時近くまでうるさい。さらに朗読に使用する会場を5時30分まで使わせてほしいという話になったというのです。朗読会の開場が5時30分なのですから、何をかいわんや。開演6時なんてもっての外。そんなことで、全ての予定が狂い、話し合いの結果、開場を一時間遅らせて6時30分とし、予約された方に変更の連絡を入れると言うことになりました。今回はグループの主催でしたから、多分大丈夫との決断を下しました。そんなことで、開演前からすったもんだの朗読会。この先どうなるかと半分恐怖にひきつった顔で準備を始めました。
部屋は白い壁の約35坪ほどの空間で、一面のみ全面鏡になっているところを背にして私の椅子を置きました。その前に丸椅子を並べ、お客さんの姿が鏡に映るようにしました。開場前よりお客さんがお見えになり、年齢層は少し高めの32人で開始時間の7時にはスタート。
お客さんの右手前、隣のスタジオの扉より登場して語り始めました。ゆっくりと静かにイメージが拡がるようにと思いながら進めました。勿論、「ラベンダー」は“べ”にアクセントをつけてね。今回は後半も意識してゆっくりとしました。今年最後の朗読だから、最高と書きたいところですが、正直に言えば全体に可もなく不可もなく。
朗読終了後、舟橋さんが我々を紹介下さり、杪谷がそれを受けて、この朗読会の趣旨を説明しました。その後はティータイム。お茶とお菓子をいただきながら、これまでの朗読会のこと、ジャン・ジオノのプロフィール、今回の朗読でどのよう読み進めたか、などについてお話をさせていただきました。そこで伺った感想ですが、「お話を聞いていて子供達が住んでいるスイスの山並みを思い浮かべました。それと、ハエ一匹殺生しないで自然と共生しているスイスの人々のすばらしさも思い出しました。」「イメージを一生懸命拡げてみました、おかげでラベンダー畑が見えました。」など。他に「間がすごい。どうしたら間がうまく取れるのですか」と朗読グループの方からはこんな質問が出ました。
集まった方々を見て、杪谷が「今晩の聞き手の方は、意識が違うよ。きっと次の朗読会につながる」と言っていたとおり、4人の方が資料を求めて下さいました。舟橋さんも多くを語りはしませんでしたが、この朗読会が、ご自分達がやっていらっしゃる大気調査の活動と同じ意味を持つものであるとおっしゃってました。だからこそ、皆さんに聞いてほしいとも思われたのだそうです。我々こそ、肩を並べる事が出来ただけでも嬉しく、これまでの朗読会が無駄ではなかったと言うことを実感しました。
72回公演
岐阜県岐南町
大松美術館
岐阜県で活動される女性たち(会員約150人)のグループ「スコープ21」が主催してくださいました。会長の大松節子さんは会場である「大松美術館」の持ち主であり、館長でもいらっしゃいます。
以前よりご協力いただいている岐阜の沢田信子さんのご友人で、会のメンバーでもいらっしゃる国江純子さんが、中心となって開催してくださいました。国江さんは八ヶ岳で朗読を既に体験済み。当日は建国記念日。祝日であり、そして雨模様というゆったりと時間が流れる昼間の二時にスタート。会場はパンフレットにあるB1の会議室で、少し変則的な空間。しかし、音響の環境はよく、デリケートな表現でも届くという感じでした。逆に言えば、咳をすれば主役に、お腹が鳴っても、いびきを掻いても笑いの対象になってしまうといった場所でした。私と杪谷は12時頃美術館に着き、早速準備を開始。既に椅子が並べられていたのですが、舞台とする方向が我々の意図する方向と逆となっていたため、椅子を回れ右。改めてセッティングし直しました。空間はほぼ暗転になるのですが、入り口の非常灯だけが自己主張。予め持参した黒幕で、覆いを作り会場づくりの準備をオーケーとしました。
ひとまず準備の目途が立ち、まだ時間があるなと思いながらも、根が几帳面なのと臆病なので再度、「今日の会場は1時30分ですよね」と確認したところ「今日は1時30分開演ですよ」と、驚くどころか、ぶっ飛ぶような答えが・・・。以前確かめた時は2時スタートだったのに・・・。今度は一転、時間がない状況に追い込まれ、顔は冷静、気持ちは焦り気味。そんな頃、館長の大松さんから「茶室にてお茶をどうぞ」とのお誘い。その時、時刻は1時前。言われるままスタッフの方と茶室へ。杪谷はと言えば、お饅頭を二人分と御抹茶を一服、そして「いい茶室ですね」忙中閑。私はそんな余裕も無く、そそくさとお茶をいただくとすぐに会場へ、やり残した朗読者としての音の確認の準備をして控え室へ。間髪入れずにお客様が会場へ突入。予定を10分遅らせ(遅れてくる方のことを考慮して)1時40分にスタート。私が客席の後ろに待機して、場内の明かりを消し、音楽がスタート。空間の闇に溶け込んだのは42人(内男性1名)でした。
実は今回、事前に展開の変更を杪谷と相談しました。今まで暗転の中でプロローグを語り、明かりと前後して「40年ほど前のことだが・・・」と進めていたのですが、今回は明かりがついてから「40年ほど・・・」とやり、再度暗転、その後ゆっくり明かりが入り、改めて朗読を開始するという流れにしました。こうすることで「作品の中の私」と語り手が明確になり、しいては朗読の立体感と奥行きが出るのではと思ったのです。そんな試みから朗読が始まりました。朗読は会場が声が通ることもあり、ゆったリズムをベースに、敢えて声を落としたり、少し張ったり、間を多めに取ったりと普段よりスロースペースを意識しました。そんな感じで33ページに差し掛かった時、「バサッ!」と大きな音が・・・。「ムムッ,何だ」と、音がした方を見ると、そこには見事に幕がはがれ落ちた「非常口」が口を開けて笑っていました。杪谷を睨みつつ、“だからしっかりガムテープで止めてくれ”と言ったのに・・・後の祭りと思いつつ、めげずに最後まで続けました。
朗読を終えエンヤの曲が流れる中、本来なら暗転で私が観客の後ろ側へ消える予定でしたが「非常口」が笑っていたため丸見え、仕方なく非常口が笑う扉から外へ。「照明が明るすぎる。照明に当たった顔を見ると、イメージが消えてしまう。もっと暗く、出来れば暗転の中で、朗読をした方がいい」という感想を、蛇足ながらお伝えしておきましょう。