67回公演
岐阜県土岐市
ギャラリー陶京 |
67回目、観客2000人を超えて迎えた朗読会は、岐阜県は土岐市にあるギャラリー陶京でした。昨年、岐阜の希望社での朗読会で開催を希望されていた織物作家の本多寿美子さんが、今回の会場となったギャラリー陶京の責任者、塚本京子さんをご紹介下さり、このお二人のご協力により実現しました。
ギャラリー陶京は前に池をいただく素晴らしいロケーションにあり、この時期は木々の紅葉も手伝ってか、それは素晴らしい場所でした。着いたとたん杪谷が、思わず「いいところだなあ」と感嘆してしまうほど、自然が一杯で、心洗われる思いがしました。
実際に朗読をおこなったギャラリー陶京は、企業が所有している建物で、パンフレットにあるような空間でした。私の歩幅で12歩×20歩の広さで全面が白い壁、床はグレー、所々大理石模様の柱がアクセントとして空間を際立たせていると言う感じです。
この空間に44人(男性5人)の方々がパイプ椅子に腰を下ろし聞いてくださいました。
開演は15時30分と、かなり早め。この時間帯の朗読は余り経験がないものですから、身体がしっかりコンセントレーション出来るかなと心配をしていました。しかし暗転幕を用意した甲斐があったようで会場が暗闇に近くなり、これがスタート時の私の気持ちを引き締めてくれました。観客に空間の中央に座っていただき、私は観客の後ろよりスタート。くら〜闇のため、私が言葉を発したときは、まるでお化けが出たとばかりに「うわぁ〜」と言う声も上がったほどでした。そんな声に大いに自信をつけながら、70センチ程の木をくり抜いた、まさに切り株のような椅子に腰掛け、朗読を開始しました。
初めはこのところ続けている、ゆったりの口調で進めていきました。ゆったりとしたのは、空間にひとつ問題があったからなんです。声がよく響き、残響が出るため、早口で大きな声を出すと何を言っているのか分からない状況になってしまうと思い、いつも以上にデリケートさ(本当にいつもあるのです)を持って朗読に望んだのです。しかし失敗が。実は最初の第一声「ある人が・・・」このくだりの「あ」の声が大きすぎ、空間に響きすぎて「何を言っているの」となったようです(後日感想談)。突然の声に「うわぁ〜」と驚いただけではなかったのです。
後半はテンポを上げていきました。朗読の間に居住まいを直したり、咳が出来る「間」をつくりながら進めても行きました。冬になると風邪ひきさんが多くなり、咳を我慢しすぎて“朗読は身体に悪い”と思われても困りますからね。
ラストで私はスタートと同じように聞き手の後ろへ回り込みました。そのあと、聞き手のやや左前方の格子の嵌っている立派なギャラリーのガラス扉に(二重扉になっている空間の直接の扉)グリーンの色で二方向から杪谷がライトアップ、これこそ吉と出るか凶と出るかの博打を打ったわけです。さて結果は・・・最後に。
感想としては、二度聞いていらっしゃる方が「今回も最初のプロバンスの荒涼とした風景が浮かばなかった」と言う感想を。他の方は「目を閉じて聞いていたら、突然声が大きくなり、どうしてこんな処で大きな声を出すのだろう」と言う感想を寄せてくださいました。これはいいヒントになりそうです。他には「40分があっという間」「物語を探していく自分がいて、時々一人歩きをしているのに気づいた」などというものでした。
今回は、空間から生まれる響く声に苦労はしましたが、概ね評判が良かったようです。 |
68回公演
橦木館(名古屋市) |
「小説も絵本もアニメも見て、それで聞いたの。それなのに凄く感動したんです。」と自由空間のスタッフの方が、朗読を終えて引っ込んできた私にこう言ったのです。こんな感想をなんと二人からお聞きしたのです、その夜は・・・。
名古屋市内、600坪の敷地に昭和2年に建築された個人所有の建物が、先程の感想をいただいた会場です。日本家屋と洋館の建物が並び、建築家や演劇関係者が7年の契約で借り受け、これまでに様々な活動をされてきました。しかし、その契約も12月14日を持って切れることになり、最後を飾るイベントの一つとして朗読も組まれました。
洋館にあるのが、かねまつはるみさん経営のオーガニックカフェ「自由空間」。
今回は、そのかねまつさんと、淑徳大学の朗読会でお世話になった伊東恵美子さんが主催してくださったのです。自由空間のゆとりを感じていただくため、また椅子の数が限られていたこともあって予約を20人としたのですが、結果、当日には全員で31人(男性5人)となりました。そこで急遽テーブルをかたづけ、椅子だけを並べるという形を取りました。
その後、ライトの仕込み。撞木館の庭は紅葉、黄葉に色づきロケーションはバッチリ。でもこのすばらしい庭をライトアップしても、会場となる洋館の中からは見えない席があることが判明。さんざん迷った挙げ句、断腸の思いで、北側の二つの窓から見える、高さ4メートルほどの黄葉の木々にライトアップする事にしました。庭に面したガラス扉と6つの窓に囲まれた空間は70年以上にわたる風格を持ち、レトロな雰囲気がプンプン。3分遅れで始まったにもかかわらず、聞き手の方はその空間に吸い込まれていたようで、導入の音楽「挽歌」は、わずか1分ほどでF・O。私は聞き手の前方、右手ドアより登場。
朗読をするにあたって「超ゆっくりに始めてみよう、前回の朗読で、始まってすぐにはイメージが膨らまないと言う声が聞かれたので、かなりゆっくり、イメージが描けるようなペースを作り出してみよう」こんな事を考えていたのです。
さて、前半は今ご説明した感じで、後半は作品のストーリーから来る求心力を利用してテンポを上げてという方法で読み進めました。ラストも作品を印象づけるように“超ゆっくり”にしてみました。果たしてこんな思惑の中、意図通りに進んだのか?「ばらさん、かなりゆっくりだったね、この感じは惹きつけるね、僕は好きだね」と、お客さんより早く杪谷が聞き手代表に・・・とまあ、つまりはこの言葉が表しているのかもしれません。しかしながら「あらら」と言葉が滑ったことが二度ほどあり、“まだまだですね”と朗読者は反省することしきり。
悩んだライトアップは、私たちの思いをよそに大変評判でした。風が味方してくれたのです。当日は少し寒かったのですが、しかしその風のお陰で木々が揺れ、効果は抜群、思わぬ贈り物となりました。
終了後、テーブルを復活させティタイムとしました。お茶が用意され、皆さん一息入れられたところで、どんぐり基金の事と共に、この作品を始めた経緯と作品について、さらに今晩の朗読の進め方などもお話ししました。そこで伺った感想は、「気持ちよく寝ました、ごめんなさい、でも気になったのは読まれている時に額の真ん中に、円形にライトが当たらない部分が出来たことでした。それが悪いとか言うことでは無く、とにかく気になった」この指摘は以前から気づいていたのですが、考慮すべきことだと思いました。空間を始め、様々な要素が含まれている事を再確認した朗読会でした。
|
|
|