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65回公演
名古屋市 鈴木宅
62回を数える朗読会が、名古屋市瑞穂区の鈴木和子さん宅で開催されました。
主催の鈴木さんはまさに奥様、働いたことがないのではと言うほど、おっとりされた方なのです。
この“おっとり鈴木さん”の母屋は日本家屋で(住まいは隣の洋風の家)ここしばらく使用されてなかったのですが、娘さんがお産の為の里帰りに最近使われたそうです。それを機に度々訪れると(同じ敷地の母屋なのですが)、不思議と心が安まることに気付き、この空間で何か企画したいと思うようになったそうです。その話を友人にされたところ、「以前、この近くの書肆孤島(澤田美江さん)で朗読を聞いたけど良かったから、それをやったら?そうよ是非やってよ」と言ったかどうか知りませんが、とにかく孤島の澤田さんに相談、朗読会を開催することになったのです。
母屋の四部屋の内、8畳を二部屋使用して朗読をしました。北側に縁側があり、その先は15・ほどのちょっとした庭になっていて、どういう訳かそこには高さ3mの蘇鉄が植わっていたのです、なんで?いやまあ、ただあったというご報告ですが。
庭を背にした縁側に朗読の椅子を置き、畳16畳に男性9人、女性29人の計38人の方に座布団に座っていただきました。開始は7時30分でしたが、お客さんを待ち5分押しで始まりました。
まずは当初の打ち合わせ通り暗転。その時、私は隣の部屋に陣取っていたのですが、なんと私の後ろから暗闇の中、ぞろぞろと消灯班の女性4人が手探りでやってくるのです。私が集中し、さあ出るぞと思っていたときに“おばさんゾンビ”。暗いんだから見えるはずがないのに“見えない見えない”といいながら朗読の部屋へ・・・。
勿論聞こえぬ程度に「うはあ〜」と落胆の溜息、気を静めて暗転の中、杪谷が「すいません、ここ少し開けてください」と確保した通路スペースを歩きながら朗読を始めました。ところが、椅子のある縁側をみるとボーッと明るいのです。何だろうと思いながら近づくと、下手にあるトイレの明かりがつきっぱなし。あの“おばさんゾンビの消灯班”は何だったのだろうと、ここでも「うはあ〜」、“どないしたんや暗転の約束やったろ〜”と心で叫び(こういう場合いつも大阪弁になる)それでも語りは真剣に標準語。そんなアクシデントに見舞われながら椅子に座り語り始めました。暫くすると今度はピッピ、ピッピと言う音が聞こえ出しました。これが後で解明したのですが、デジカメのシャッター音杪谷曰く“まさかそんな音が出るとは知らなかった”許すことにしましょう(だって杪谷の隣にデジカメマンがいたのですから、どうやら彼も現代人に有らずの様です)さらに途中からどなたかがお見えに・・・。そんな驚きを抱え、今回は和室と言うことを意識して少しウイスパー気味に語ってみようと思い進めました。和室の空間では、声を張って出すよりも寄り添うような関係で言葉を語った方がいいのではと思ったのです。後日、10月24日にご協力いただく有松絞りの下村訓子さんより、元気がなかったのではという感想をいただいた程でした。この語りで40分を通しました。感想は「この作品を以前に朗読しましたが、やはり男性がいいですね」「以前に聞いた方が感動した」何と冷たい感想を・・・実はこの方が鈴木さんに紹介下さった方です、ガクッ!。
杪谷が命を懸けたライトアップは・・・勿論忘れてはいませんよ。縁側の向こうの庭にある蘇鉄のエッジを出すようにライトをひとつ、さらに、低い草が茂る部分に奥からライト。こんな感じでおしゃれで感動的なライトアップとしてみました。
66回公演
ギャラリー安里(名古屋市)
「桑原恭子さんと下村訓子さんの作品展の会期中にやりましょう」と下村さんとの話から、ギャラリー安里での朗読会(安里では2回目)となりました。本番5日前には予約一杯となり、その後申し込まれた方(10人ぐらい)にお断りをしたそうです。ご迷惑をお掛けしましたね。
今回の会場は、前回の空間の反対側で30人ぐらいが入れる白壁の空間でした。
5時30分から会場づくりに入り、朗読場所の位置とライトアップ先を決め、6時過ぎには終了。その後7時開場、実はそれ以前の6時40分過ぎからお客さんがお見えになり、いつの間にか“開場の状態”になっていました。あわてて桑原さんのオブジェ(3作品にあらかじめ仕込まれていた)のろうそくに火を入れました。ほぼ7時30分予定通りお店入り口のシャッターを降ろし、聞き手の方が逃げられないように工夫してみました。
今回は下村さんの希望から、イントロダクションをカットして物語からスタート。
その為にどのように朗読を始めるかを何度も杪谷とリハーサル。さらに、完全暗転を目指して暗幕も用意し、観客にとっての唯一の逃げ場である隣の部屋との入り口も封鎖しました(これで、朗読の間は私の人質)。
朗読が始まって暫くすると了解はしていたのですが、閉めたシャッターの横の通路を歩く音、立ち話をする人の声などが時々聞こえ、聞き手の方は少し集中が途切れたかも知れません。集中と言えば始まって暫くしたころから、中央で床に座られた年輩の男性が、しきりに足を動かし体を動かす、朗読をする方としては大変厳しい状況になるわけです。読みながら間違いなくその人の姿が目に飛び込んでくるわけですから。結局最後までこのような居住まいで時を過ごされましたが、杪谷に「いい朗読だった」と言って帰っていかれたそうです。さあ、これでまた朗読が・・・分からなくなってきたぞ。
今回の朗読は少し感情を抑え、さらに身振りなども極力減らして望みました。押さえた分、語尾にメリハリをつける意味で時々ゆっくりと言葉を立てながら話してみました。
杪谷から「ちょと感情が入ってたね、しかし久し振りに何だかグッと来たね」と言う感想が帰ってきました。私は先程述べたとおり、間違いなく感情を抑えてメリハリをつけたつもりだったのですが、この話を聞くと心情が入っていたのかも知れません。ここでまた朗読とは・・・分からないものです。今後もこんな状況で回を重ねていくのでしょうか。
最後のライトアップは、脱色を繰り返し紙のようになった繊維を板に張り付けた、下村さんのオブジェ作品に後ろからライトを当てシルエットを出すようにしました。この効果があったかどうかは不明です。
さて朗読の感想は「聞く場所によって毎回変化するものなのですね」次回、開催してくださる伊東恵美子さん。「今回は近づけた」と意味深長な言葉を発したギャラリー安里のお母さん。「良かったです。ご一緒にジョイントが出来そうな間の使いかたをしているなと思いました」と音楽家の加藤訓子さん。あとはどんな感じだったのでしょうか、お聴きすることが出来ませんでした。
今回の朗読で延べ2,000人の観客を迎えたということは、私たちにとって最高の喜びです。こつこつと66回重ねての快挙です。これは取りも直さず今まで支えてくださったスタッフの皆様と主催者、そして、聞いてくださった聞き手の皆様のお陰です。
200回に届くのはもう無理かも知れませんが、まずメモリアルの100回までは実現できるように祈ってみようと思います。今回で66回、2,021人をご報告します。