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64回公演
福井県大野市 松本宅
遂にやってきましたと言う気持ちにさせられる、ドングラー松本三重子さん(どんぐりチケット製作者)の昨年新築された自宅(ログハウス)での朗読会でした。
福井県は大野市に居を構える松本さんちは福井弁バリバリの4人家族。大野城を仰ぎ見る場所に位置する松本邸での朗読は、夜7時開演でした。
二階建てログハウス一階のリビングは、木の温もりに満たされ、大野城もすっぽり入ってしまう程の広さを誇り、大野に一台か?と言われる大型テレビに布を被せ(少し眉唾ですが)、男性10人、女性21人、計31人の方を迎え繰り広げました。
前日に名古屋で朗読を終えて、まだまだ気持ちホットな状態で夕刻5時30分に到着しました。すぐに朗読の位置決めをし、朗読空間からどこにライトアップをするかを検討、松本さんちのやや斜め左前、道路を挟んで10メートルほどの所にある草地に明かりを当てることとしました。その結果、まずロケーションの妨げとなるウッドデッキに面したガラス戸のカーテン、網戸を外していただきました(家の方には大掃除が出来ていいと喜ばれましたが)。さらに大野といえど文明があります、街灯があります。これも朗読に邪魔と言うことで、2機の街灯の明かりを人がいいと評判の松本さんのご主人に登って消していただきました。おかげで最高のライトアップを目指せることになり、ライトマン杪谷のやる気が俄然むくむくと持ち上がってきました。
ほぼ時間通りに「挽歌」の曲でスタート。少し経った頃、律儀な聞き手の方が遅れて登場。オーノー(大野)と思った時、燭台の火を下げる担当の松本さんが対応して、まずは着席。その後2分ほどして、観客の後ろ「お父さんの部屋」から出て語りはじめました。朗読時間は、スタッフの西村さんの計測の結果(タイムキープしていたと言うのが凄い)予定通り40分。朗読は大野の空気に触れ、ゆったりと語りながら目線を聞き手の方に注ぎました。すると目線の先には最前列に座られた大野図書館の館長が・・・咳払いをしばしば、セカンドバッグをがちゃがちゃ、させているのです。これはやめていただこうと朗読を通して婉曲に語りかけたのですが、効果は全くありませんでした。まあ、それにもめげず、集中して聞いてくださっている方々を対象に気持ちを切り替えました。ところが、一難去ってまた一難。今度は大野の町中に響き渡るのではないかと思えるほどの大音声でご近所の方が、いつものスキンシップなのか夫婦喧嘩なのか言い争い。
おかげで朗読は犬も食わぬ喧嘩に食われてしまいました。さて朗読を終え、ライトアップは目指す草地。エンヤの曲の中、私も明るく照らされた草地目指して歩き出しました。草地に消えた後、グルッと住宅のブロックを一周し、松本さんちへ無事帰宅「ただいま帰りました」。タイミング良くエンヤの曲の終了に間に合い、挨拶をしました。
感想は翌々日送っていただいた松本さんの“感激メール”を参考にしますと、「吸い込まれるようだった、効果音、照明も素敵だった」「生きていく事の意味深さを考えさせられた、あの人も誘えば良かった」と言うものがありました。さらに当日お聞きしたところでは「ライトアップされた草地がブフィエが育てた草地に見えた」「この家の空間がそのまま朗読だった」との感想をいただきました。全て終わった後、松本さんと深夜2時近くまで、この4年にわたる“朗読の歴史”を語り合いました。その夜は、松本さんちの一員になりすまし泊めていただきました。
1999年から始めて、4年間に64回のステージを数え、観客の延べ人数は1,953人と2,000人まであと一歩。今更ながら、朗読が築き上げた関係に杪谷共々感謝です。
65回公演
東京都港区 旧桜川小学校
東京での朗読会第2弾となったのは、港区新橋の旧桜川小学校でした。福井県今立町が昨年からピーアールを目的に、5年間の契約で借り切り、年に一度イベントを開催。2回目の今年、福井出身のなつみりょうさんが(以前番組のキャスターとしてご一緒した)中心となって開催してくださいました。
杪谷が既に会場の視察を終え、朗読会場は4階の音楽室と決めてありました。
東京へ心がなびき?早めに会場にたどり着きました。しばらくしてから、4階の会場に上がり(この階段は大変だから何度も上り下りしたら朗読は出来ないぞと上がりながら思いました)。階上にある音楽室(10メートル×15メートルほど)には前後に黒板があり、既に越前和紙で覆われていました。「有り難い」と思ったものです。さらに完璧な空間づくりに励み、入り口も和紙で覆う、他の窓も同様、しかし隣の建物に面した側の多くの窓はとても覆えず、残念ながら諦めざるをえないと言うことになりました。暗幕さえあればなあと何度思ったことか、今持って残念です。実はこれがのちに命取りとなったのです。完璧な空間づくりをすればするほど、朗読の質を高め、観客の気持ちに近づくものであることを改めて認識しました。
入り口横に10センチ高い仮設舞台が敷かれ、その上に吊された「東京いまだて物語」と書かれた看板を外し、そこに朗読の椅子を置いたあとパイプ椅子を並べ、ライトアップを検討。杪谷がいろいろと考案するも全て駄目、効果なしと判断。その内、朗読椅子の後ろにある黒板を覆っている越前和紙を、斜め下にテグスで引っ張り、和紙の裏にライトを仕込み、和紙を後ろから当てるという方法が浮かび上がってきました。このアイデアに勇気を得て、ライトの角度を何度も考慮。何とか和紙が美しく浮かび上がる角度を見つけ、据え付けを完了。これで、後は観客を待つだけ。7時の開場に一番乗りをされたのは何と名古屋の俳優さんご夫妻。今回も協力してくれた作家の水城雄さんを通じて来てくれました。勿論私も知っている方でした。その後続々とお見えになり、計35人(男性15人、女性20人)7時を10分ほど回ったところでスタート。薄暗い中、観客の背中に言葉をかけながら前の椅子に。今回は新たな試みとして物語に入ってから、おもむろに椅子に置いてある本を取りながら、観客の方を向こうと決め、始めたところ言葉を忘れる始末。全くの間抜け。ショックの中、仕方なく浮かぶ言葉を語りながら辻褄合わせをしました。これって本当に朗読なの?って感じ。しかし、これにめげずに朗読を続けました。
ところが、暫くすると覆われていない窓の向こうから、明日のイベント「桂由美のファッションショー」のマイクテストがしっかり聞こえてきたわけです。もしこれで暗幕があれば、この音が少しは緩和されたのになと、無い物ねだりをしばし。当然それに負けていられないので、渾身の力を込めて「桂由美には負けないぞ、負けないぞ」と呪文を唱え唱え最後まで。桂由美は途中で終わっていたのですが、坊主憎けりゃ・・・でしょうか?その甲斐あって朗読は私なりに丁寧に、しっかりと終えたように思いました。
感想は「新たに語りの形が見えてきた」「やはり窓側でマイクの声が気になり、入りきれなかった」「大変気に入った。読み聞かせをしているものにとって勉強になった」「愚問ですが、この話って本当の話?」「朗読の表現がこんなに深いものだとは思わなかった」など、やはり好意的な評が多かったように思います。これはやはり、静謐且つ深奥に迫る作品の力かなと?この本に出会えたことに、改めて喜びを感じています。
1,988人となった今回、次回は遂に2,000人を越えることになります。楽しみです。