60回公演
あすけ里山ユースホステル |
今月二度目の暑〜い朗読会でした。二年前に開催していただいたオーナーの小川光夫さんの希望で今回も実現しました。5年ほど前に椿立小学校を改築してユースホステルとしてオープン。その後、小川さんのお人柄で、着々とお客さんを増やしているようです。
今回の会場は、そのユースホステルの隣にある椿立公民館でした。まさに可愛らしいという表現がぴったりの間口5メートル奥行き10メートルほどの広さで、50人も入れば一杯。その奥に舞台がしつらえてありましたが、舞台上での朗読はしませんでした。運動場に面した窓側に椅子を置き、運動場を背にする形を取りました。
そこに33人(男性が17人も)の方に集まっていただき8時より開始しました。その前にライトアップの照明を仕込んでいるときに雨が降り始めました。と思ったら今度は空に星。海抜430メートルの山だけに天候が変化、変化。気温も4度ほど低い場所での朗読でしたが、湿気があり汗ばんだ感じでした。
さて、星が瞬く中、予定通りスタートしました。導入の曲がF.Oしたあと、話し始めましたが、最初のフレーズでもう呂律が‘あらら’何とも大失態。そして5分後、今度は何と飛び入りの登場。それもあろうことか虫君のアブでした。私の所にだけ明かりがあることをいいことに、このアブ君。実に働き者で、朗読する私の首筋に止まったかと思うと、今度は頭の上に、そして肘へ、耳へと至る所をいたぶってくれたのです。おかげで朗読はリズムが掴めず迷走です。途中で“もう我慢できん”と手で払ったのですが、どうやら憎っくきこのアブ野郎、話が好きらしく離れてくれません。食べて死ぬ事もないだろうから“ようし、じゃ食べてやろうじゃないか”とも思いましたが、この光景を目にしている聞き手の皆さんこそ、私が食べたら、キャーとか、ワーとか、もう朗読どころでは無くなるのではと、掴みかかる左手をおとなしくさせました。この光景をどう思いますか。これはやはり試練なのでしょうか。さらに良いものを作る為に必要なのでしょうか・・・?答えも見つからないまま、開始前に小川さんが言った「蚊取り線香を用意しましょうか」この言葉が脳裏をよぎりました。あろうことか私が「いらないでしょう、40分ぐらい聞き手の方は耐えられますよ」といったために読み手が耐えられなかったのです。アブにやられ、蚊に刺され、蛾が本の前を羽ばたく中、悪戦苦闘の末やり通しました。まるでふらふらのマラソンランナーの様に。その上、弱り目に祟り目、なんども咳をしていた一番前の中央にいた男性が、堪えきれずすっくと立ち、前を横切り玄関口へ、咳が収まってからもそこに立ちすくしていました。
そして極め付けは、止んでいた雨が轟音をたてて激しく落ちてきたのです。“もうやけくそ”と思ったら、あら、ラスト。結果、これまでの朗読の中で、最も情けないものになってしまいました。
それでも雨の中、運動場の先50メートルに仕込んだライトが、10メートル近くの立派なプラタナスの木を照らしだしました。皆さん、それはもう大感激、まさか、あんな遠くの木が浮かび上がるなんて、といった具合でした。仕込んだ杪谷はもう涙、涙で自分の仕事に満足感を覚えていたようです。私だけが蚊帳の外だったかも・・・。
終了後、ユースで15人ぐらいで話をしました。私の方はなんとも中途半端な気持ちのまま、皆さんの感想を伺いましたが概ね好評で、もう一度聞きたいという方が多く、おひとりの方がやってみたいと手を挙げてくださいました。
今度こそ、納得のいく朗読を目指そうと誓う夏の終わりでした。 |
61回公演
武生市南公民館 |
昨年の11月24日に、武生市のキッズ図書館での朗読を聞いてくださった南公民館の職員、道正志津子さんが中心となって西公民館との共催となりました。
当日は7時開演。会場は武生駅から車で5〜6分の南公民館の二階でした。7メートル×10メートルほどの、どこにでもある白い壁の空間でした。空間を横切りベランダへ出て、ロケーションを見ました。すると会場の前には道路があり、その先のブロック塀の中には、緑の木を植えてある庭付きの家がありました。会場を見渡してもライトアップできそうなものはなく、杪谷と二人で「あそこ」と指さすことに。そこで道正さんに田中さんのお宅(先程の15メートルほど離れた緑の木のある家)にお願いしていただき、ライトを庭に仕込みました。その田中さんちに背を向けて朗読の椅子を置きました。ベランダのガラス戸を閉め、黒幕を引きました。“おっと、6時30分、開場だ”と、この時はそう思って受付の後ろの囲みへ入りました。ところが、ところがです。ここからが先程の話なのです。“え、7時!”驚きの中、思い直して朗読の空間に戻り本を読み返していると、次なる恐怖の情報は・・・朗読の部屋の隣の和室が急遽、盆踊り練習部屋になり、朗読の本番中ラジカセで曲をかけ“よよいのよい”と手を打つ様なのです。
“こりゃ、たまらん”ということになり、またまた道正さんにお願いして40分間朗読を聞いていただくか、曲をかけないでほしい旨をお願いしてもらいました。しかし、あちらも本番が近いと言うことで、ボリュームを落として稽古ということになりました。
すったもんだとやり合っている内に6時40分を回り、お客さんが入り始めました。
結果48人が(男性5、女性43、大方が年輩の方)お見えになり始まったのは7時20分、この後やってきた数人の方は入れなかったようですが・・・。
朗読は暗転の中、ゆっくりと台詞を言いながら聞き手の後ろから回り込み着席。それからもゆっくりと読み始め、前半はゆっくり後半はテンポを上げました。これは観客の方に年輩の方が多く、テンポが速いと言葉から生まれるイマジネーションが広がりにくいのではと思ったからです。テンポを落とすことで想像が生まれ、さらなる想像が生まれるのです。40分が過ぎる頃朗読も終わり、黒幕を開けてバルコニーに出ました。そこには、雨の中の田中さんちの庭が浮かび上がっていました。聞き手の皆さんがホーとため息、杪谷の顔はニンマリだったろうと思います。
挨拶の後ティタイムとなり、皆さん、お茶とお菓子を召し上がりながらしばし歓談。
聞いてくださった30代の女性の方が「ゴミ問題でも地域活動でも、一人だけでは何も出来ないと思っていたのに、この話を聞き、一人であっても塵も積もれば何かが生まれるエネルギー、実績になるのですね」とおっしゃいました。お一人様お目覚め〜という気持ちにさせられました。こんな事があるから、この朗読は止められないのかも知れませんね。 |
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