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49・50回公演
名古屋市
櫻やギャラリー
一年ほど前にもオーナー花田真帆さんのご協力で、同じ空間にて朗読会をさせていただきました。その時の評判が良く(ちょっと自慢げに)、本年の最初に“櫻やオープン15周年”のイベントの一環としてやりましょうという言葉をいただいていました。
燭台を提供してくれている金憲鎬さんの作品展の二日後、12月21日に二回の朗読となりました。人気陶芸家の金さんの案内状に掲載していただいた効果か、夜の9時の回は早々に定員(二回とも定員20人)になり、夜7時の回も朗読会の一週間前には一杯となりました。
会場は木の箱とも呼べるようなもので、部屋の中央は峡谷をイメージできるような形となっており、20人が限界のユニークなスペース。それは木のぬくもりが朗読する声を柔らかくしてくれる処です。
第一回目、観客のみなさんは23人でその内、男性は3人。暗転の中ではじまり、今回は空間の残響の事も考慮に入れて、時折声のボリュームを下げて朗読をすることも試みました。その方法でメリハリも生まれ、聞き手の方も予想以上に集中されていたので、少しテンポをあげて朗読してみました。その結果メリハリがある分ゆったり聞こえたり、緩急をつけたことで展開の流れが見えたりとコンパクトな朗読となったようです。終了後、皆さんにお茶が提供されました。この1時間後2回目の朗読でした。
本日2回目、7時の回と同じく23人、そのなかに男性3人これも同じ。しかし、一つだけ違うところが・・・なんと朗読の悪魔と呼ばれる、子供が1人いたのです。控え室で、花田さんにそれとなく大丈夫なのですか?以前に大変なことがあったのですよと牽制したのですが、「大丈夫でしょう」と軽くいなされ、運を天に任せるしかないと、こうしてひとつプレッシャーを抱え込んだのです。そんな心配をしながらも前回の感触が残っている空間に身を沈めて朗読を開始。よりによって座りにくい峡谷に座っている魔女。その彼女を意識しながらも平常心を失わず、先程の流れに乗って読み進めました。
40分の朗読が終わろうとする頃、どこかのページを読み飛ばしてきたのでは無いかと不安に思ったぐらいに、あっという間に朗読が進んだと言う感覚にとらわれました。
それは多分、空間の創り出す緊張感と声を弾き返してくれるホールがうまくマッチし、それに身体が反応したからかも知れません。そんな心地よい空気に包まれていたのか、あの朗読を壊す魔女も最後まで抵抗することなく良い子となっていました。
2回目終了後のティータイムに私も加わり、この作品について伺ったりしました。
お聞きしてみると、今回で二度目と言う方が多くいらっしゃり、二度目のほうが作品をより深く味わえたとのことでした。言葉のメリハリを感じていらした方もいたり、テンポが今回は速かったと言う声も聞かれました。始めての方の中には中学生と高校生の少女がいて、「高校の教科書にこの本が載っていた、しかし先生が授業を飛ばしたので読まなかった、帰ったら読みたい」と言う感想もありました。さらに実際に花の苗木を自分の山に植え続けている老人の方が岐阜よりお見えになり、「俺と同じだ」とブフィエとご自身をだぶらせて聞かれていたようです。お待ちかねのライトアップは、庭の緑を、足下にあるガラスを通して浮かび上がらせ、さらに部屋に組み込まれたすりガラスの窓にもライトを当てました。こちらは、何か啓示を受けたような感覚に陥るものでした。
51回公演
岐阜県岐阜市
希望社ギャラリー
今年始めての、それも区切りの良い51回目の朗読会を飾ったのは、岐阜にあります
建築設計事務所(株)希望社の「希望社ギャラリー」でした。
ギャラリーの企画責任者の木村しのぶさんが、昨年「櫻やギャラリー」での朗読を聞いて下さり51回目が実現しました。木村さんは染色作家の下村訓子さんの知人です。
今回は定員50人と言うことでしたが、少しでも多くの方にと言う木村さんの希望で、急遽、申し込まれた方全員に来ていただき、結局男性11人、女性43人の合計54人となりました。勿論50人でもゆったりと聞いていただけるスペース(別紙参照)でした。
ギャラリーはコンクリートの打ちっ放しにフローリングの床。このデザインが朗読に雰囲気を持たせ、環境としては大変良い空間でした。
床面から30センチの所に、40センチ矩形のくり抜いた小窓が数個ある壁を背にして、椅子を置き朗読スペースとしました。
観客の皆さんの集まりがよく、定時にスタート。54人の方はゆったりと椅子に座りながら朗読に集中。最初ゆっくり、徐々にテンポを上げて朗読、さあ後半と思ったところへ、「い〜し焼〜き〜芋〜いも、いも〜」という超現実的な、43人の女性の心を溶かすような声が拡声器を通してこだましてきたわけです。こちらは肉声、あちらは拡声器、負けること必至。よし、しばらく通り過ぎるのを待とうと、朗読のスピードを減速、間を取りしばし静観。ところがこの待つ時間の長いこと、長いこと。だれかが石焼き芋でも買ったのかしらんとおもえるほどの滞留ぶり。石焼き芋が主人公ではないと気を取り直し、女性43人の石焼き芋への誘惑を断ち切るように再開。観客の多くは、お腹グルグル、お芋に未練としながらも、夕飯前の自らの運命を呪いながら、漸く「ブヒィエの世界」へ戻ってきてくれました。その後は、邪魔されることなく終了しました。
思えば、今回は何とも“危険な朗読”でした。
ラストのライトアップは、朗読した背面の窓の向こうに見える芝生に、屋外からなめるようにライトを這わせました。私は庭に出来たその光の中に吸い込まれるように足を踏み入れ、歩き回りました。庭を歩いている私の足が、窓を通して観客から見えるようにしたのです。そうすることで、この光景がまるで羊飼いが歩いているように、また語り手が森を散策しているようにも見えて来たようです。結果、作品をフィードバックするような雰囲気を感じ取られたようです。
感想としては「空間がよく、作品が際立った。」「朗読時の照明が明るすぎたのではないか(暗いと、字が読めないのですが)」「導入部の音楽が長すぎた」などの感想をいただきました。今回、54人と多くの方に聞いていただいたせいか、終了後、企画書も5部全てが無くなり、名刺交換も多かったのです。その中に木工職人の大熊さんという方がいらっしゃり、この先、朗読で使用する椅子を提供してもいいとご厚意を寄せて下さいました。さらに名古屋にある「正文館書店」の企画担当の方もお聞きになり、3月に朗読会を開催したいとの打診がありました。今後に繋がる実りある朗読会は、希望社の木村さんを始め、社員の方々のご協力で無事終えることが出来ました。尚、希望社の社長も聞いてくださり、「この空間で、このような朗読が出来たことは本当に嬉しい」と賛辞を頂戴しました。