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35回公演
石川県加賀市(片山津温泉)
片山津芸妓検番
 一年ほど前に依頼された加賀市の公演が中止になり、その時の依頼人、稲持奈江美さんが今回ご紹介下さったのが始まりです。それを受け、このイベントを担当する風土研究所の山口哲夫さんが推薦、加賀市の緑化推進室、奥村外与彦さんが中心になり、プロによる一人語り(自然に関する物語等)「声優シアター」という行事を組まれ、5月6日(日)に参加することに決まったのです。
現在は使用されていない、芸妓さんの練習場兼発表の場「片山津温泉検番」が会場となりました。
会場は、畳敷きの部屋で高さ30センチ奥行き4メートル間口5メートルほどの舞台空間があり、今回は、舞台の高さを見て、舞台上に椅子と照明を置き、朗読を致しました。(舞台の上なんて、ちょと恥ずかしい気もしましたが・・・)
今回初めて一日2回公演となり、1回目は5時よりスタート。今回から観客が入ってから蝋燭の明かりが消され朗読が始まるまで、曲をかけてみることにしました。少し重い感じの曲「挽歌」(ジョン・タバナー作曲)です。この曲で、聞き手の方が集中力を高められるのを狙いとしました。この後すこしの沈黙、そして40分の朗読を開始しました。
まず一回目は、100人入れるような空間に38人の方が鑑賞、従って舞台より離れたところに一塊りといった感じで、私から5〜6メートル離れていたように思いました。空間も変に広く、観客はかたまり、空いている部分が多いので、声がどのように伝わっているのかが心配でした。それでも終了後には、「よく聞こえたし、イメージがしっかり拡がった」という感想を頂きました。一回目は男性6人、女性32人(内、子供一人)という構成でした。今回は加賀市長もお聞きになり、帰り際に「このイベントを一番楽しみにしていた。うん、良かった」と感慨に耽りながら帰られたと言うお話を伺いました。こんな具合に、まずは一回目が終了。
さて二回目、今度は7時30分にスタート。観客は同じく38人。男7人、女31人(内、子供5人)でした。
曲が終わり、暗転になってびっくり。5時の回には暗転にしても、明かりが漏れ、やや明るいなと思っていたのですが、今度はほとんど完全暗転。「しまった、蓄光テープを貼り忘れた」と思ったのは後の祭り。舞台まで行く7〜8メートル前が見えない、舞台に上がるのに4段の階段が分からない、舞台に上がってから中央にある椅子までどれぐらいかも分からない、しかし科白は言わなければならない、といった感じにパニック。暗闇の中ひたすら科白を言いながら、足で探り、探り、心許なく舞台へ。何とか収まって朗読を開始。
こんなアクシデントがあったにもかかわらず、出来は最近では一番良く、照明の杪谷も、更にスタッフの方々も2回目のほうが良かったと言うことでした。実はこれには訳があり、1回目に手探りで培ったものを身体が憶えていて、空間の感覚が収得できていたからだと思いました。今度は、舞台の前の方に観客をお願いしますと言ってあったので、聞き手との距離も良し、観客も語り手も空気を感じ取ってくださったのだと思いました。
感想としては、「本を全部憶えているのではないか」「間が凄く良い」「緑の多い片山津の自然が素敵に見えてきた」などと言うことでした。
その後、片山津温泉の旅館から朗読して欲しいという話しもあるそうです。
36回公演
岐阜県犬山市
ぎゃらりー木屋
長尾恵利世さん(愛知県江南市)とおっしゃる手作り絵本作家が、去る2月3日書肆「孤島」で朗読をお聞きになり、今回、ご自身の作品展会期中に朗読会をやりたいとおっしゃってくださり実現しました。
ぎゃらりい木屋は、犬山城のある犬山市の古い民家を使用したギャラリーで、L字型をした空間です。
そこで、5月10日〜16日長尾恵利世「手作り絵本展」を開催、その会期中の13日に朗読会となったわけです。
当日は晴天で、18人の観客を集めて6時30分に朗読開始、となるはずでしたが、17人までは6時30分までに揃い、後一人待つこと10分余、しかし誰一人、待つことに文句を言うでもなく、ゆっくりと長尾さんの作品をご覧になりながら待っていらっしゃいました。その光景を控えの間で眺めておりました、「今回は朗読をするにはいい雰囲気だな」と感じながら。その間にご協力いただき電話の音、携帯の音、柱時計の音、お腹の鳴る音(失礼)そんな日常をひとつひとつ消しました。
さて、後一人を待つこと15分、漸く全員の方が揃い、長尾さんの手作り絵本に囲まれる中、ギャラリーのシャッターを閉め、ジョン・タバナーの「挽歌」が流れ、会場の明かりがろうそくの明かりだけとなり、約5分後、ろうそくの明かりが長尾さんにより運び出されほぼ暗転「あるひとが・・・」のくだりから朗読を開始。その後40分何事にも何者にも邪魔されることなく無事終了。いい雰囲気の中観客も集中され、まるで18人の方の熱気が空間を覆っているようでした。
今回ぎゃらりい木屋で白い手漉き和紙(長さ1.5メートル 幅60センチ)を私が朗読するいすの後ろに、天井の梁からぶらさげ、ラストにその和紙にバックライトをあてライトアップ。
さて観客の方の反応は好意的で、「話の内容に心が熱くなった」「声がよく響き体の中まで物語の核が入って来た」「目を開けて見ていたら、白い和紙にイメージが投影され想像力が拡がり良かった。」「最初の音楽とラストの音楽が気持ちをグッと盛り上げた」などと言った声が聞かれました。なんと終了後、18人の方の内3人の方が朗読会の資料がほしいと言われました。こんなことは余りないことで、ちょっとびっくりしました。
長尾さんより、その後お礼のはがきが届きました。その中に
「わたしにとって13日のあのひとときは、忘れられない、そして15周年の最高の思い出になりました。」とありました。この言葉を私も長尾さんに贈りたいと思います。