公演レポート
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196回
2003/06/14 土曜日
3:00,7:00PM
東京都世田谷区
「アイ文庫」アトリエ
水城雄さん

“朗読会”私にとってどちらへ招かれても心持ちは同じですが、「東京で・・・」というと、必ずそれに続く言葉は「すごいですね、東京ですか?」本当に、これって凄いことなのでしょうか?今回、私は密かにこんな疑問を抱きながら上京、東京在住の作家であり、「あい文庫」という声優達の妙な集団の代表でもある水城雄さん主催の朗読会(77回目と78回目のステージ)に臨みました。
場所は世田谷区豪徳寺。駅から歩いて3分の酒屋さんの地下、以前ビデオスタジオとして機能していた空間「あい文庫」。現在、事務所兼練習場として使用、水城さんのねぐらでもあります。コンクリート壁の白っぽい雰囲気を持ち、広さは15×5メートルほど、天井は2メートルぐらいの高さ。14日土曜日の昼3時と夜7時からの二回公演です。
 一回目、通算77回目は18人(男性6人)の方を前にして朗読。殆どが声優の方々で、言ってみれば同業者。そんな中で朗読をするのは、まさに針のむしろに座ったようなもの。とはいっても引き受けたからには“しらざあ〜言って聞かせやしょう”ときたもんだ、の心境でしたが・・・。いざ読み始めると空間の拡がりが掴みにくく、少し声を張ったりしました。すると今度は響きすぎ、少し押さえたりと、どうもペースが掴めません。この後、もう一回朗読をするのだと思うと、どうしても試験的な考えがよぎってしまいました。これ反省です。とはいっても壁に跳ね返る音を聞き、自分でコントロールをしながら読み進めました。語る声が聞き手の身体に充分届き、うまく言葉が入っていくように感じられます。2〜3回言葉が危うかった処もあったのですが、気持ちが乗っていたので聞き手の方々がイメージを湧かせることが出来たように思います。途中、上階の酒屋から足音やカートを動かす音などが聞こえ、やり過ごす場面もありました。本当に日常の音は限りなく聞こえてくるものです。
さて感想は「空気感が違ってた」「最後に大粒の涙が出てきた」「いつもは朗読を聞くときは目をつぶるのに今回はどういう訳か見てました」などというものでした。ちなみに涙が出たというのは二人で、若い男女。しかも共に声優でした。今回のライトアップはグリーンのゼラ紙を使用し、背後の白い壁に当てました。その前に「私はバスを降りた」と言うくだりでそのグリーンを点灯し、朗読に花を添えてみました。我々は、これって結構良いなとは思ったのですが聞き手の反応は何も無し。まあこんなものですがね。
さて、7時からの2回目。水城さんは3時同様、開始時間や朗読の環境には充分気をつけて下さり、冷蔵庫やクーラー、時計の音など朗読の邪魔をするものにはシビアに対処してくれてました。
2回目は24人(男性5人)で始まりました。一回目終了後に、水城さんから、もう少しゆっくりのペースが僕は好きと言う意見が出ました。ここは、主催者の水城さんを立てやしょう!一回目の感触が残り、且つすんなり空間に溶け込めた事もあったので、さらにゆったりと、まるでブフィエにハエが止まるほどのスピードで読み進めました。実は一回目も、音が響くので余韻を出すためにゆっくりと読んではいたのですが・・・。
途中、前列の女性に言葉を投げかけると何と「うん、うん」と頷くではありませんか?「こんなに反応がいい人がいるとは思いがけないことである」と、まるで朗読の一文に。 今回は42人の方に聞いていただき、結果、東京であろうがどこであろうが感受性は同じではないかと・・・あの「東京は他と違うのか」という密かな疑問はみごと消え去ったのでした。とはいっても、東京神話は、間違いなく息づいているのでしょうね。おわり。